静岡に創業したのが1913年、本店の上で生まれ育ち、地元の青葉小学校に通い、駿府城のお堀の中の中学・高校に通った私にとって、新静岡センターの大きな時計には思い出が沢山つまっています。
小学校の校庭で遊んだ時に、あ、帰らなくちゃ、と、時計を目にしたり、中学生になってお友達と待ち合わせするのは、いつも新静岡センターの前。子供達も、青葉小、そして近くの中学校、高校に通い、入学式や運動会、受験の発表、いつも、新静岡センターの時計と共に暮らしてきました。
新静岡センターは、静岡の中心地から各地域にバスが発着するターミナル駅。また、新清水にむけては電車も発着しています。ですので、お買い物も便利で、地下のスーパーや最新の小売りが集まる人気のショッピングセンターでした。
ヴィノスやまざきは、そんなターミナル駅からは遠く、ワインを始めたから何本もまとめて買って下さる方が、ターミナル駅まで重たそうにワインを持って歩かれてお帰りになる後ろ姿を見て、「いつかは、新静岡センターにお店を出したい。」が、私の夢でした。
それが実現したのが、2007年。
東京の有楽町店を見学された、新静岡センターのオーナーの静岡鉄道のトップの方から、「今度、新静岡セノバという名前になってリニューアルするんだ。是非、有楽町店のような店をセノバの1階でやりませんか?」というお話をいただきました。
「え?私の夢、誰に聞いたの?」
嘘かと思いました。ほっぺたをつねる感じ。それも、大人気のアパレルがひしめく1階の道路沿いに!
なぜ?
「ショッピングセンターはものを買うところだけではないと思うのです。1階で皆がワインを飲みながら語り合う。そんなSCを作りたい。是非協力してください。」とのことでした。
「静岡でワインを楽しむ人を育てたい。そして売る人を育てたい。」
そんなお言葉を伺い、商業とは、人育てなんだ。マーケットを創造することなんだと、心から感動したことを覚えています。
セノバの上の階にある静岡朝日カルチャースクールともコラボしてワインセミナーを開催。
受講後はお店で二次会。お客様を育て、私達も育てて頂き、生産者も育てて頂き…そんなセノバで育ったお客様たちは、
「ワインは産地ではない。ブランドでもない。造る人」そんな価値観を共有する素晴らしいお客様たち。
だからこそ、1993年にカリフォルニアワインマスターコンテストで優勝し、現地で多くの葡萄農家と知り合った私が、カリフォルニアワインがブランド化して世界的に価格が高騰した時、「葡萄農家に造っていただく」という、まったくのオリジナルのカリフォルニアワイン、「ディアリッチ ピノ・ノワール」や「ストーンヘッジ・メリタージュ」を、受け入れて下さり、大ヒットにつなげてくれたのです。
そんなセノバ店の17回目の誕生祭。
勿論、「ディアリッチ ピノ・ノワール」や「ストーンヘッジ・メリタージュ」をお選びさせて頂きました。
ディアリッチ ピノ・ノワール 2021|ヴィノスやまざき|ワイン通販
ストーンヘッジ・メリタージュ 赤 カリフォルニア 2020|ヴィノスやまざき|ワイン通販
ヴィノスやまざきを育ててくれた、私に商業とは何かを教えてくれた新静岡セノバ、時計台は変わりましたが、以前の時計台のところに、しっかりと時を刻む電子時計は今でも、静岡の街を見守ってくれています。
セノバ店も誕生祭。是非、皆様、ヴィノスやまざき発祥の地の静岡に遊びにいらして下さい。そして静岡の皆様、これからもよろしくお願いいたします。
3代目
種本祐子