先週、ボルドー地方の蔵元、シャトー・ムーラン・オーラロックの新当主トーマが来日し、各所でワイン会を開催いたしました。
ムーランはボルドー地方の右岸地区のフロンサックという小さな村にある、家族経営の小さな蔵元です。30年程前に初めて現地の方の紹介で訪問したところ、仲買人を通さず直接小売店に販売したいと言っていたほどの頑固者。
でも、当店が蔵元から直接輸入して販売する「蔵直便」のワインショップであることを伝えると、「貴方たちのような人が来るのを待っていた。」と、奥のセラーから10年程熟成したワインを、10年前と同じ価格で譲ってくれたのです。
その後も1本60万以上する有名シャトーワインと同点を付けられたこともあり、マニアの間では話題のシャトーでしたが、「高い点数が付くと、高い価格がついてしまう」と、有名ジャーナリストの取材まで断るような、そんな蔵元でした。
ムーランとは、家族付き合いをしていて、現在の当主トーマは学生の頃から知っている仲。
トーマの初めて造ったシャトー・ムーラン・オーラロック2012年を現在販売しているのですが、社内のワインマニアたちが「素晴らしい」という一方で、「良いワインだけど、難しい...一般の人にはわかりにくいのでは...」と、夏頃に試飲した時に感じていました。
なので、創業110周年にトーマを日本に呼びたいという声がありながらも、なかなか決断できなかったのです。
でも、11月に試飲した時に、「え?美味しい!」と、その味わいの変化に驚き、またエルヴェ家のハウスワインでもある、エルヴェ・ラロック2016年については、とろける甘さのような滑らかさも感じ、「これは、今だ!」と、急遽、トーマにお願いして来日して頂きました。
そして、トーマが初めて造った白ワイン。
最初は「うーん、良いけど、レイニャックの白には適わないかも」とか言っていた私でしたが、熟成を経て、酸味と旨味と果実味の絶妙な味わいに。
「もう、これは、シュヴァル・ブランの白(約3万円クラスのボルドーの有名白ワイン)」と、言葉が出ませんでした。
2016年のエルヴェ・ラロックも、飲まれたお客様が、「熟成したワインがこんなに美味しいとは思わなかった。」と、感嘆のお声があちらこちらから聞こえてきました。
シャトー・ムーラン・オーラロック2012年を皆で飲んだ時には、涙を流して感動されているお客様まで。
数年前に不慮の病で亡くなられたトーマのお父様のことを思ってなのか、長く、ムーランを愛して下さったお客様たちの間で、感動の連鎖・・
30年もワインの仕事に携わってきたのに、ワインはその時その時で、開いたり閉じたりするという当たり前のことを一瞬でも忘れてしまった自分が本当に恥ずかしく、トーマは正真正銘、本当に素晴らしいワインの匠だと実感しました。
トーマ、ごめんなさい。
そして、「白ワインすぐに追加できる? 2012年は?」と、お願いしましたが、全てが売り切れてしまい、今ヴィノスやまざきが円安前に買い付けた在庫しかないとのこと。
今、本当にめちゃくちゃ美味しいです。
さらに2012年はあと10年位寝かせても美味しいとのこと。私も、当然、まとめ買いしました。
絶対、この年末年始飲むならシャトー・ムーラン・オーラロック2012、お薦めです!