ボルドーはフランスを、世界を代表するワインの産地。
1855年パリ万博の時にメドック地区の1~5級が格付けされ、世界のワイン生産者の目標となりました。
1855年パリ万博の時にメドック地区の1~5級が格付けされ、世界のワイン生産者の目標となりました。
オークション等にも登場し、年代物が数百万で落札されるボルドーワインのイメージは、まさに"高級ワイン"でした。
そんな格付けワインよりもブラインドテイスティングなどで過去には高い点数を獲得したこともある、レイニャックやシャトー・ムーラン・オーラロックを探し育ててきたヴィノスやまざき。
その面白さに魅かれて、私保坂はワインの専門商社ではなく、ヴィノスやまざきのワインの世界に飛び込みました。
フランス語は苦手ということもあり、新大陸ワインの買い付けを主に行ってきた私。
「保坂君、たまにはフランス行ってきなさい。新大陸を回ったからこそわかるフランスの世界もあるよ。」
と、昨年店長たちを引き連れ、フランスに行かせて頂きました。
「保坂君、たまにはフランス行ってきなさい。新大陸を回ったからこそわかるフランスの世界もあるよ。」
と、昨年店長たちを引き連れ、フランスに行かせて頂きました。
その買付では、ボルドーで「農家シャトーを回る」というミッションがありました。
安定的に売れてはいるけれど、華々しい広告等は見かけない、ヴィノスのロングセラーのシャトーたちです。
そんな農家シャトーの中でも、最も「農家」だと思った蔵元の一つが、シャトー・パンシーユです。
ボルドーの美味しい白を探していた時に、シャトー・ムーラン・オーラロックの当主エルヴェさんから10年前に紹介を受けた蔵元です。

シャトーというと、華やかなティスティングルームをイメージしますが、パンシーユは田舎のお爺ちゃんの家に帰ってきたような農家。
実は、シラット家はフランス革命の時から、樽職人、船大工、ワイン醸造、と、長年、職人仕事をしてきました。
20世紀初頭には、農家としてすでに畑からぶどうを収穫し、造ったワインを貯蔵するためのセラーが設けられていたそうです。
ポムロールやフロンサック村にほど近い、川岸の地に彼らのぶどう畑はあります。
当主のパスカルさんが毎日丁寧に畑の手入れをしていて、パスカルさんの手は真っ黒でした。
当主のパスカルさんが毎日丁寧に畑の手入れをしていて、パスカルさんの手は真っ黒でした。

畑での栽培から、醸造まで、すべて自分自身の手で行う、これが「農家シャトー」のすごいところなのです。
自然に配慮しているとか、HVEの認証取っているとか、そんなことを一言もアピールしてこないのですが、ずっと昔から自然農法でやってきており、それが当たり前のようです。
自然に配慮しているとか、HVEの認証取っているとか、そんなことを一言もアピールしてこないのですが、ずっと昔から自然農法でやってきており、それが当たり前のようです。

そんな彼らが造るワインをご紹介します。
■シャトー・パンシーユ トラディション

樹齢の高いメルロ種を主体にカベルネ・フラン種を加え、ゆっくりと時間をかけて醸造。
「クラシック」ですが飲みやすい味わいが特徴。
赤い果物の香りがフルーティで、濃い色合いの中にタンニン(渋み)も感じます。
こういう赤は、飲んでいて疲れません。
こういう赤は、飲んでいて疲れません。
何十年も熟成させて楽しむ高級ワインではなく、毎日飲むために、農家が造ってくれた…そんな田舎っぽさも少し残る農家の赤ワインです。
■シャトー・パンシーユ フェルナンド白


美味しい白を探していた時に、ボルドーの蔵元たちが「絶対にパンシーユ」と、紹介してもらったのがこちらのワインでした。
ソーヴィニヨン・ブラン種を100%使用し、キリリとしたドライな味わい。
ですが、ぶどう自体をしっかりと完熟させて、家族で丁寧に収穫しているので、「キリリ」の裏側をしっかりとしたぶどうの果実味が支えます。
まさにボルドーっと言った白ワインです。
生ガキとか、お刺身とか、お寿司とか…日本の食事にもよく合います。
まさにボルドーっと言った白ワインです。
生ガキとか、お刺身とか、お寿司とか…日本の食事にもよく合います。
このワインを丁寧に愛情深く育てたパスカルさんは、フェルナンド君という息子さんの名前をこのワインに付けたそう。
買付隊長から
「パンシーユに行ったら、可愛い男の子がいるよ。フェルナンド君によろしく」
と言われて探したところ、なんと今はお父さんの片腕として立派にワインを造っていました。
「パンシーユに行ったら、可愛い男の子がいるよ。フェルナンド君によろしく」
と言われて探したところ、なんと今はお父さんの片腕として立派にワインを造っていました。

ヴィノスやまざきの買付隊長は、蔵元を訪問するたびに「この蔵をよろしくね。」と、子供さんに声をかけるそうです。
そんなこともあって、今後継者がいないと言われることも多い農家でも、ヴィノスやまざきの蔵元では息子さんが継いでくれています。
そんなこともあって、今後継者がいないと言われることも多い農家でも、ヴィノスやまざきの蔵元では息子さんが継いでくれています。
この蔵を紹介してくれた、農家シャトーのリーダーともいえるシャトー・ムーラン・オーラン・オー・ラロックの当主トーマも、知り合った頃はIT企業に勤めていましたが、今は手を真っ黒にして畑仕事をしています。
何年も熟成して高額で売るようなシャトーは、スポンサーがついていたり、バックは大企業だったりすることもあるかもしれません。
一方で、農家のシャトーは家族で手を真っ黒にして、30年後にできるかもしれないワインを想いながら、ぶどうの樹の手入れをしている…。
一方で、農家のシャトーは家族で手を真っ黒にして、30年後にできるかもしれないワインを想いながら、ぶどうの樹の手入れをしている…。

ワインはビジネスではない。
ワインは農業なんだ。
ある意味商業的ではなく、想いは格付けを超えているかもしれない・・・
お金にこだわらず、幸せそうに、生き生き仕事をしている・・
ワインビジネスをやりたい、と、ヴィノスやまざきに入社した自分に、たぶん買付隊長は、この世界を知ってほしかったんだなと、感じました。
農家の家族が一生懸命造った、伝統的でキリリとしたワイン。
ぜひ日常の食卓でお楽しみいただければと思います。
ぜひ日常の食卓でお楽しみいただければと思います。
買付け隊
保坂 清仁
