食いしん坊Cookブログ【鰻のボルドー風赤ワイン煮込み 編】


まもなく訪れる、土用の丑の日。
この日に鰻を食べると、「今年も夏が来たな・・・」と感じる方も多いのではないでしょうか。

鰻は日本だけでなく、世界中でも愛されている食べ物です。
たとえばフランスでは、ワインの銘醸地ボルドー地方が有名です。

我々がよく見る“ニホンウナギ”とは少し姿形が違う“ヤツメウナギ”を、地元ボルドー産のコクあり赤ワイン、香味野菜と一緒に煮込みバターで仕上げる、“ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ(ヤツメウナギのボルドー風赤ワイン煮込み)”をよくビストロで見掛けます。

ソムリエの資格取得試験でもよくボルドー産赤ワインに合う料理として出題されるほど、現地では一般的な料理です。



しかし、“ヤツメウナギ”は日本では入手困難であることから、実際食べた事がある人は少ないかもしれません。
そこで本日の“食いしん坊Cookブログ”では、スーパーで購入した鰻の蒲焼から造る、『鰻のボルドー風赤ワイン煮込み』をご紹介します。

蒲焼だけではない、ワインに合う鰻の召し上がり方をご紹介いたしますので、ぜひボルドー産の赤ワインを用意して、お試しください!

こちらの料理には、ボルドー産赤ワインの中でも、メルロ種の比率が高いワインを使用するのが、より本格的に仕上げるコツです。
有名な産地では、右岸と呼ばれる地域の“サンテミリオン”や“ポムロール”といった、高級ワインを生み出す銘醸地があります。
そこでは、1本数万円から数十万円するグランヴァン(偉大なワイン)が、数多く存在しています。

本日のレシピで使用したのも、もちろんボルドー産の赤ワイン。
様々な有名ワイン誌において、高級グランヴァン以上の評価を獲得したこともある実力派「シャトー・ド・レイニャック」が造る、クラシックタイプのワインです。

レイニャックは、現オーナーのイヴ・ヴァテロ氏が、「5大シャトーを超えるようなワインを自らの手で造り上げる」と、16世紀から続く歴史ある蔵を1990年代に購入。

畑とワイナリーを全面改装し、今や世界中で注目を浴びる「ボルドーの革命児」的な存在の蔵元です。



ヴァテロ氏に初めて会った時には、
「有名シャトーに負けないボルドーワインを造る!」
「産地にこだわらず、最高の土壌で、今までの常識を打ち破るものを造る!」
そんな鼻息の荒いヴァテロ氏に、じつは最初は好感を持てなかったのですが・・・

ぶどう栽培に良いと聞けば自分の敷地に湖まで掘ってしまい、「ボルドーワインは長く熟成しなければ美味しくない」というイメージを覆すため、熟成中に樽をまわす醸造技術「オクソライン・システム」を使って美味しいワインを追い求めるなど、その徹底ぶりには脱帽せざるを得ませんでした。


今では、お互いに激論を交わし合う仲になりましたが、それも信頼関係があるからこそ。お客様の求めるワインをお届けしたいという熱い想いを共有する、良きパートナーです。



畑はサステイナブル(保全農法)を実践し、10年以上除草剤を使っていないとのことで、畑の周りには野生の鹿やウサギなどが生息するほど。自然に寄り添ったぶどう造りを行っております。

また、ぶどうの収量をボルドーの平均値から1/4以下に落とすことで凝縮感を高め、ワインに深い味わいを与えています。さらに、収穫時の選別も含めると全部で4回も選果を行い、より状態の良い粒だけを使用しています。



現に、国際的な審査会「クラスマン・デュ・グラン・ジュリー・ヨーロピアン」や「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア」では、メドック1級格付けワインを越える評価を獲得したこともあります。

そんなボルドーワインの歴史ある評価を覆したレイニャックが、クラシックスタイルで地元の方中心に愛されているのがこの「シャトー・ド・レイニャック」です。



樽の香りがハッキリとする新樽の使用を控え、古樽を使用することで落ち着きが出ます。 口に含むとゆっくりと鼻腔の奥に香りが広がり、口当たりは非常に滑らかでタンニン(渋味)は細かく、ブラックベリーの味わいだけでなく、スパイスや葉巻のような香りも感じられます。 飲むたびに変化する複雑味が楽しめるワインです。


最新ヴィンテージの2016年は気候、醸造共にパーフェクトな当たり年とのこと。
ビッグヴィンテージと言われる2009年や2015年に匹敵する出来栄えに仕上がったそうです。



そんなワインを、今回の料理に使用しました。
一晩漬けこむことで、鰻の皮や身にしっかりと赤ワインの風味が溶け込み、いつもの鰻料理とは一味も二味も違った味わいに。
バターを入れることで煮詰まった渋味も柔らかくなり、濃厚なソースをお楽しみ頂けます。

料理とワインを合わせるポイントの1つが、「料理で使ったワインをテーブルでも楽しむ」こと。
シャトー・ド・レイニャックと一緒にお召し上がりいただくと、ワインの重厚で複雑な味わいが、濃厚なソースと相まって、抜群のハーモニーを奏でます。

鰻とワインで、元気に夏を乗り切りましょう!

新着読み物

奇跡の運命ワインはナパ・ヴァレーではなく、カーメル・ヴァレー?!
いまイチオシのワインたち

奇跡の運命ワインはナパ・ヴァレーではなく、カーメル・ヴァレー?!

ジオリスとの出会いは、今から20年以上前。 L.A.の有名ワインショップで、買付け隊長・種本がお土産に...

メリークリスマス!
蔵直ワイン物語

メリークリスマス!

早いもので今年もあと僅か。先日近くの教会のハンドベルコンサートを覗いてきました。 クリスマスは教会のミサ...

私にとってのロマネコンティ以上のワインは...
いまイチオシのワインたち

私にとってのロマネコンティ以上のワインは...

毎年この時期だけ、本当に少しだけお分け頂いている幻のワインがあります。それが、カンヌ修道院のワイン「アベ...