蔵直®ワイン30年の物語 ①

始まりの時・・・若い女性ソムリエが借金をしてでも、輸入したかったワイン

創業111年を迎えたヴィノスやまざき、何度も酒販免許の自由化等で挫折するも、「店はお客様の為にある」という言葉で、「開運」「磯自慢」等の銘酒を世に出し日本酒の名伯楽と呼ばれた、先代の私の父、山崎巽は30年前、店をたたむことも考えていました。

そんな時、ワインなら、女性の自分でもやっていけるのでは?と

ワインの試飲会を開催し、お客様から注文を頂き発注という、ワイン会スタイルでワインの顧客を増やしていきました。

またワインの勉強を始め、ソムリエ協会のソムリエ資格や、ワインコンテストで優勝し店舗では有名なフランス産のブルゴーニュ・ボルドーの格付けワインが増えていったのです。

しかし、なかなか売上げが伸びず、「こんなにワイン業界でプロに評価されているのに、何故売れないのか」と、悩み、その時に出会った言葉が

「店はお客様のためにある。」という、何と、父と同じ講師からの言葉。

お客様と話していると、「もっと安くて毎日飲めて、しかも、高級ワイン並みの味のもの」というお声が多く、そんな時に出会った、フランス大使館のM女史。

「フランスにも無名産地で一生懸命ワインを造っている人達がいます。でも、大手インポーターは、目もかけてくれない・・是非、一度味を見てほしい。」と、紹介されたワインの美味しさに感動し、南フランス・ラングドック地方まですぐに飛びました。

「安酒のワインの産地」と、呼ばれる産地でしたが、すべて手摘みで収穫されるぶどうは完熟していて、ボルドーの数万円もする高級シャトーの葡萄に遜色ないのです。

すぐに、1コンテナのワインの輸入を決意し、日本に戻ってきたら待っていたのは請求書。

実績のない私でしたので、まずは「1千万円」、支払いが必要でした。

勿論、そんなお金はあるわけもなく、地元の銀行に飛び込み、若い支店長にその情熱を話し、「6か月の運転資金。担保無し」で、借金することが出来ました。

が、1万本の届いたワインを見て、余りの量に胃が痛くなり・・でも、何とか6か月で売り切ろうと思っていたワインが、お客様の口コミで1か月で完売してしまったのです。

さらに、その後「こんなに美味しいワインを探してきてくれてありがとう。」と、

お客様から、小さな花束やたくさんの「有難う」を頂き、胸が一杯になりました。

お客様から「ありがとう」を言って頂いたことは、その時が初めてでした。

それからずっと、購入し続けて下さっているお客様や品質をどんどん上げて、ワインを造り続けて下さっている造り手の方、もう、感謝の気持ちしかありません。

その時、輸入したワインが、

南フランス・ラングドック地方の、シャトー・レゾリュー(赤)

そして、

同じくラングドック地方のグールガゾー・シャルドネ(白)

いや、今飲んでも本当に美味しい。そしてコスパ。

そして何より30年もロングセラーで続いてきた陰には、造り手の方の並々ならぬ努力と育てて下さったお客様の存在があります。

直輸入ワイン、という言葉も少し違和感があり、「蔵元直送ワイン 蔵直(くらちょく)便」という言葉を考え、商標を取りました。

この30年間支えて下さった全ての方々に、感謝の気持ちで、この1年間、私の30年の全ての感謝の気持ちをお届けしたいと思います。

次回は、この時仕入れたワインについて、このワインがきっかけでヴィノスに入社した鶴見から、じっくりとワインについて語らせて頂きます。

勿論 蔵の祭典でもお話させていただきます。

こちらも是非、ご参加下さい。

種本祐子

ヴィノスやまざき ファウンダー 取締役会長

日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ

フランス、ボジョレーのワインの騎士や、サンテミリオンのワインの騎士受賞

ワイン業界で初の、米国農産物ホール・オブ・フェイム(名誉の殿堂)受賞

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