2010年、京都の中心ともいえる四条烏丸の交差点にNTTが商業ビルを建てることになりました。
その名も「ラクエ四条烏丸」。
まわりには金融中心のオフィスビル、そして少し行くと大丸や高島屋、トップブランドから老舗、日本の伝統品、まさに、商業がぎゅっと詰まった四条烏丸の地下を降りた「顔」となる場所に出店しませんか?と、ラクエの方がわざわざ訪ねてきて下さいました。
京都は本当に難しい場所。
本物を極めた料亭や伝統品を訪ね、お客様が世界から集まる街です。
ワインも本格的ボルドーワインやブルゴーニュワインを扱う料亭などが多く、食のレベルも高い街…
そんな京都で、しかも京都のど真ん中で、ヴィノスやまざきがやっていけるのだろうか。
でも、だからこそ「やってみたい」という気持ちで一杯でした。
ヴィノスが出店しなければ、大手ワイン専門店がどうしても出店したいとお話を頂いている。そちらにお願いすれば楽なんです。でも、ヴィノスさんで勝負してみたいのです。
ラクエの若き担当者の方の熱い想いに、「京都店」を出す。と、腹をくくりました。
京都だから高額高級ワイン、京都だからピノノワール、みたいな考え方は捨てて、ヴィノス等身大で勝負することにしました。
そうです。
ボルドーの格付けワインでなくて、格付けワインに負けない蔵直ボルドーワインや、手頃な価格のオーストラリアの貴腐ワイン、本物を極めたお客様が、ヴィノスのワインを見出し育てて下さった歴史もあります。
産地やブランドではなく、「人」の造る蔵直ワインを、京都で広めよう。
そんなミッションインポシブルには、造り手の皆さんが協力して下さいました。
ビッグな匠たちが、店頭試飲販売をして下さいました。
たとえば京都の姉妹都市のフィレンツェ、トスカーナ地方からはマルケサートのマウリッティオさん。有名ブランド、サシカイヤと同じ葡萄園をお爺さんの代に分割し、すべて手造りで少量だけを造るタラブーソはサシカイヤより高い点数を取得たこともあり、京都でも大人気のワインとなりました。
そして、シャトーペトリウスと同点をとっても決して仲買人には売らず、ヴィノスやまざきのお客様に直接お届けしたいと、年代物も自宅セラーで熟成し、信じられない特別価格で提供して下さる、シャトームーランオーラロックのエルベさん。
そんな匠たちに助けられて、ヴィノスの蔵直ワインは、京都でも料亭や星付きのレストランからもご注文いただくようになり、そこで飲んで下さったお客様たちがお店に立ち寄って下さるようになり、気が付けば来年で15年となりました。
こんなに長く続けられるとは夢のようですが、育てて下さった蔵元さん、お客様、そしてスタッフ1人1人、三位一体となり、京都店は街になじんでいきました。
15年の間に、世代交代も行われ、ボルドーのシャトームーランオーラロックからは、エルベさんの息子さんのトーマが来日しました。
お父様の想いを引継ぎ、今年の「蔵の祭典」では、生産者を代表して乾杯の音頭を取られました。
来週一緒に来日する、ボルドーの小さなシャトーたちは、すべて仲買人を通さず、自分で葡萄の栽培、収穫、醸造まで、すべて1人で手造りでワインを造る職人たち。
そんな職人たちの造る本物だからこそ、京都の方々に認めて頂けたのかもしれません。
これからも、フランスワインだけでなく、世界の匠のワインを、ここ京都店から発信していきたいと思っています。
京都にいらしたら是非、お立ち寄りください。
とびきりの匠のワインと共にお待ちしています。
ヴィノスやまざき
ファウンダー
種本祐子