バロッサ・ヴァレーで100年以上の古木があると聞いて、案内してもらったのはカラブリア・ファミリー・ワインズの「ウィリアム・ヴィンヤード」。
なんと、1914年に植えられた樹齢111年のシラーの古木がありました!
幹は太く、大きく曲がりくねっていますが、枝や葉は生き生きと茂っています。
年を取るにつれて根からの養分の吸収が弱くなるので、枝の一部が地面に潜り込んで栄養を補助的に吸収しているものもありますが、力強く生きていることを感じました。
葡萄の実は少量しかつかないのですが、深い味わいの素晴らしい葡萄が取れるそう!
そして、この葡萄から造られるのが、彼らのトップキュベ、そう「アイコニック」です!
「アイコニック」にかけた想いを、当主ビルに聞いてみると…
「グリフィスでのワイン造りがうまくいきはじめて、『プレミアムワインを造りたい』という想いから、新しいエリアでもワイン造りを拡大しようと思ったんだ。
その中で私が興味を持っていた土地は、オーストラリアでシラーの栽培に最も適していると思う ”バロッサ・ヴァレー”。
高品質なワイン造りをしたい私にとって、やはり一番チャレンジしたい場所だったから。」
と語り始めてくれました。
「実際バロッサ・ヴァレーに行って土地を探しに不動産屋を訪ねたのだけど、納得するような土地は見つからなかった。
がっかりしてホテルに帰る道中で、枝や葉がワイルドでとても荒れていたけれど、古い葡萄の樹がはえている畑を見かけたんだ…
一度はホテルに帰ったのだけど、どうしても諦められずに引き返し、現地に戻ってみると、1914年に植えられた古木があったんだ!
『ここでワイン造りをしたい!』と、直感的にそう思ったよ。
すぐに不動産屋に連絡をしたけど、『ここは売れない土地だ』と断られた。
でも、『絶対ここがいい! 』と思った私は、諦めずに土地のオーナーを見つけ出して連絡を取ってみたんだ。
オーナーからも
『この土地は売れない。荒廃しすぎていて、整備にはお金も時間もかかる』
と断られたのだけど、
『心配ない。そういう整備は全部自分たちで何とかするから譲ってほしい!』
と頼み込んで、遂に譲ってもらったんだ!
そのあとすぐに、畑の整備を始めた。トラックを買って、まずは雑草抜きからはじめて…全部自分たちの手でやったよ。
古木も状態の悪いものはチェンソーを使って切ったりしながら、一つ一つ整備していった。
誰もが「無茶だ」といったけど、私は『私がそういう男だって知っているだろ?』と返したよ。」
ビルの熱心な整備のおかげで、少しずつ畑が息を吹き返し始め、2年後ようやく葡萄が少量だけ実ったそう。
「その葡萄を一口食べたとたん、『ああ、なんて美味しいんだ!』心から感動したね。
それからどんどん畑の改善をつづけると、ワイン造りを長年やっている両親も納得するほどの、かなり美味しい葡萄が実るようになったんだ。
近隣のひとにも『いったい、どうやってやったんだ?』と不思議がられたよ。」
「そして噂を聞きつけたのか、バロッサ・ヴァレーの大手ワイナリーもやってきて『ここの葡萄を買いたい。』と打診されたんだ。
でも私は『この葡萄は、自分自身のワイン造りで使いたいから売らない』と断ったよ。
『2倍の金額を出す』とも言われたけど、お金じゃない、私は私自身のワイン造りのためにこの葡萄を育てたからね。
更に食い下がってきて『じゃあ、出来たワインを売ってくれないか』とすら言われたけど、それも断った。
そうやって、全部自分たちの手で、自分自身の想いを込めて、一つ一つ育てた大事な葡萄を使って造るワインに『アイコニック(≒象徴)』という名前をつけたんだ!」
そうか…「アイコニック」という名前はトップキュベだからついた訳ではなく、ビルの想いから来ていたんですね!
「プレミアムワインを造りたい」という強い想いが、ビルと古木のあるウィリアム・ヴィンヤードとを結びつけ、そして素晴らしいプレミアムワイン造りにつなげているのだと感じました。
そして、そんなビルが率いるカラブリア・ファミリーと、ヴィノスやまざきを結び付けたのは、買付隊長・種本祐子の「ブランドや産地にこだわらず、本当に美味しいワインをお客様にお届けしたい」という強い想いだったに違いありません。
この畑で完熟シラーズを手摘み、選別し、18ヵ月間フレンチオーク樽にて長期熟成を施した後、さらに12ヵ月瓶内熟成を経てリリースされる、トップキュベ「アイコニック」。
深い紅の色調、滑らかな口当たりと圧倒的な果実味、驚くほど長い余韻に驚きを隠せません!
家族経営だからこそのこだわりと高い品質を誇る、カラブリア・ファミリーの当主ビルの想いが詰まったワインは、葡萄の収量がとても少ないため、年間数百本しか作れないという希少な1本。ヴィノスやまざきには特別に譲っていただいています。
バロッサ・ヴァレーの数十万円するワインより、想いの詰まった価値ある1本を、ぜひ大切な方とご一緒にお楽しみください!
新米 買付隊
SACHI