新米 買付隊のSachiです。
日ごろはオンラインショップの担当をしており、買付隊から色々な買付秘話を教えてもらってサイトやSNSにアップしていますが、今回初めてオーストラリア・ニュージーランドの買付に参加させていただいています。
3月17日に羽田空港を出てシドニー空港で乗り換え、まず向かったのはニュー・サウス・ウェールズ州のアデレード空港。
お目当ては、空港から一時間ほど車で走ったところにある、オーストラリアのあのワイン銘醸地、そうバロッサー・バレーです!
今回買付隊が、コストパフォーマンスの高さでこの10年間で急激に人気を博している、家族経営の蔵元「カラブリア・ファミリー・ワインズ」を訪ねると聞いて、カバン持ちでよいので連れて行ってください!とお願いした私。
オンラインショップでも爆発的に売れている「ウエストエンド ブラック・シラーズ」や「3ブリッジズ」が、なぜそんなに人気なのか?、その美味しさの秘訣は何なのか?を掴もうと思ってきました。
バロッサに近づくと、青空のもと葡萄畑が広がります。
中心部を走るバロッサー・バレー・ウェイに入ると、左右に葡萄畑が広がり、中心部・テヌンダ(Tenunda)の付近には、至るところにワインメーカーの告知やテイスティング・ルームが。
さすが、世界に名が轟くワイン銘醸地ですね!
そんな市街地から少し離れて、小高い丘を登っていくと…
丘の中腹に、きれいに手入れされた畑があり、その真ん中にカラブリアのテイスティングルームがありました!
商業的な雰囲気は一切なく、シンプルでオシャレなテイスティングルームの目の前には、畑が広がります!
テイスティング・ルームで出迎えてくれたのは、長年のパートナーである「カラブリア・ファミリー・ワインズ」のマイクさん。
マイクさんのお父さんであるビルさんの代から、グリフィスで本格的にワイン造りを始めた家族経営の蔵元、カラブリア。
2000年代に入って、プレミアムワインを造ろうとヤラ・ヴァレー他ワイン銘醸地を巡りながら土地を探していたところ、彼らの本拠地グリフィスと似ている、このバロッサー・バレーのテヌンダの土地にビルさんが一目惚れ!!
そのインスピレーションを大事に、この地で葡萄栽培・ワイン造りを始めたそうです。
バロッサー・ヴァレーの3つの自社畑では、トップキュベ「アイコニック」や「3ブリッジズ シラーズ」などに使われる葡萄を栽培。
まさに、テイスティングルームの目の前には、「スリーブリッジズ シラーズ」に使うシラーズや「スリーブリッジズ カベルネ」に使うカベルネ・ソーヴィニヨンが育てられている「エリザベス・ヴィンヤード」が広がっていました。
そこで驚いたことは…
ここで取れた葡萄は他のエリアの葡萄などとブレンドせず、その畑の特徴を活かしたこだわりのワイン造りとなる「シングル・ヴィンヤード(単一畑:その畑で造られた葡萄のみで造られている)」でワイン造りを行うそうなんです!
シングル・ヴィンヤードって、高級ワインが多いイメージを持っていました。
オーストラリアの某有名ワイナリーが造る10万円以上もするトップキュベでさえ、バロッサ・ヴァレー以外の土地の葡萄を使って、ブレンドして造られているのに…
カラブリアでは「3ブリッジズ 」などのクラスから、その畑の特徴を活かしたシングル・ヴィンヤードで造られているとは!
正直、目から鱗でした!
もう一つ、驚いたのは、今年の葡萄の出来。
通常買付隊は4~9月などに買付に行くことが多く、南半球の買付けではいつも葡萄畑に葉っぱもない裸の木だけ…。
それが今回、葉っぱがあるだけでなく、なんと葡萄が収穫直前とのこと!
通常だと、葡萄の収穫は2月にほぼ終わってしまうのですが、今年はとてもドライな気候が続いたので、ぶどうが熟すスピードが遅く、最後の収穫を今夜行うとのことでした!!
葡萄の収穫タイミングは気候や葡萄の状態によりギリギリまで変わるので、完熟した葡萄が付いた状態の畑は買付隊もなかなか見ることができないのですが、なんと今回運よく収穫直前の葡萄、そしてこのヴィンヤードでは今年最後の収穫となる葡萄に出会うことができるなんて、夢のようです!
世界的に被害が出たフィロキセラの影響を受けていないバロッサ・ヴァレーだからこその古木があり、それにうまく接ぎ木をすることで、若い樹も古木に負けない成長をし、素晴らしい果実をつけるそうです。
こちら10年の若木とのことでしたが、こんな立派な幹と葉の茂りでした!
収穫前で葡萄に陽を当てている、とのことで、畑はこんな状態!
水分がない干し葡萄のようにもみえますが、食べてみると酸もしっかり残りながら、糖度の高い深―い味わい。
また、種の色も緑がからず、ほぼ真っ黒。完熟した葡萄だからこその色合いでした!
悪い果実は取り除き、よい果実だけを醸造にるそうです。
夜のうちに収穫し、冷涼な夜のうちに醸造所に運ぶことで、葡萄果実を質の良い状態でワイン造りにつなげていくそうです!
常々変わる葡萄の状態を確認しながら、「今日、収穫する!」とタイミングを決めて、それを確実に実行できるのは、家族経営だからこそとのこと。
やはり、美味しいワインができるのには必ず理由があるのですね!
葡萄造り、ワイン造りに向き合うカラブリアの愚直さに感動しました。
SACHI