"新大陸のピノノール"というと、甘くてジャミーな感じで、ブルゴーニュ好きの中には敬遠される人もいるようですが、そんな中で、「ブルゴーニュ愛好家」の方々に長くご愛顧いただいているワインがあります。
それが、「Dearichディアリッチ ピノ・ノワール」。
もともとこのワインを造って頂いていたのは、モントレー・カウンティにあるパライソ・ヴィンヤード(葡萄園)のリチャードスミスさんでした。
冷涼で、乾燥し、強い風と海からの霧(マイクロクライメット)、それでありながら長時間かけての栽培を行い、リチャードさんのパライソヴィンヤード(葡萄園)の葡萄は、高級ピノノワールを造る近隣のワイナリーの垂涎の的なのです。
リチャードさんの葡萄で造られたピノノールが、かなりの高額で市場に出ているのを知り、
「私達のために、リチャードさんの葡萄でワインを造って下さい。」
と、お願いしました。
が、返事は、当然「No.」。
それでも、何年もパライソ葡萄園に通い、家族ぐるみの付き合いとなり、ついにワインを造って下さいました。
そのワインの名前は、私が長年送った手紙の冒頭「Dear Richard」をもとに、Dearichと命名してもらいました。
ラベルのデザインは、私がRich(Richardの愛称)に書いたお手紙をそのままラベルにしよう、と、言って頂き、こうしてDearich が出来上がりました。
が、まさかのリチャードさんの急逝。このワインは幻のワインとなってしまいました。
さらに「Dearich は入荷しないんですか?」と、多くのお客様からの問い合わせを頂き、心を痛めました。
が、そんな時、リチャードさんのもとで醸造を行っていたナパのワイナリーの醸造家が、モントレーの葡萄でDearichを造ってくれるというお話が。
モントレーの酸味ののった、しかし果実味溢れるピノノワールを8か月フレンチオーク(樽)で熟成するという、リチャードさんの造りを再現してくだったのです!
さらに新樽も一部使用することで、高級感も増し、「ブルゴーニュのピノノワールしか飲まない」というお客様から大絶賛を受け、ヴィノスやまざきのロングセラーとなりました。
1993年に初めてカリフォルニアワインコンテストで優勝し、リチャードさんの葡萄園を訪問してから30年以上がたちました。
どうしても、このピノノワールをブルゴーニュファンに飲んで頂きたい、という、ファウンダー種本の想いと、カリフォルニアのワイン史に名を残すリチャードさんの想いが奇跡を起こしたのかもしれません。
いえ、「Dearich再入荷しないのですか?」と、背中を押してくれたお客様の想いが一番強かったのもしれません。
口に広がる果実感と酸味、ブラックチェリーやラズベリータルト、スパイシーな樽の風味とココアのフレーバー、口の中に心地よく広がる明るくジューシーな果実味がしなやかで、エエレガントな風味を醸し出しています。
ブルゴーニュファンの為に造られた、ナパの醸造家がモントレーの葡萄で造る、実にハイブリッドな高級感溢れるピノノワールです。
ディアリッチ ピノ・ノワール 2021|ヴィノスやまざき|ワイン通販
価格は本当に抑えめですが、高額なピノノワールに負けていないと思います。
モントレージャックという地元のチーズと合わせると最高ですが、日本では入手しにくいチーズなので、熟成したコンテやセミハードなチーズと合わせてみて下さい。やわらかな赤なので、お肉は和牛と合わせて頂きたい。素晴らしい時をお楽しみください。
リチャードに敬意と心からの感謝を込めて
ヴィノスやまざき
ファウンダー会長
種本祐子