ヴィノスやまざきには50年の隠れたベストセラーがあります。
蔵元から直輸入を始めて30周年なのに50年とは?はて...
ワインの直輸入を始めるまでは、ワインのほとんどをインポーターさんから仕入れていました。
その売り上げの上位を占めていたのは、川崎市・元住吉商店街にあった銘酒屋Mさんのワイン。その銘酒屋は、おそらく日本で初めてワインの輸入を始めた小売店だと思います。
今から50年前、日本で販売されていたワインは、赤玉ポートワインや、海外のワインを日本で瓶詰した国産ワイン、一部フランスのボルドーやブルゴーニュのワインが少しずつ輸入され始めていました。
「これから、ワインの時代が来る。」
そう考えた、酒屋さん達は自らワインの勉強会を始めましたが、その主宰者が銘酒屋Mさんの店主さんでした。
日本のワイン業界の発展に尽力された岩野貞夫先生を講師にむかえ、教材用として岩野先生が現地で選んだワインを、酒屋Mさんが直輸入して、仲間の酒屋さんに卸してくれていたのです。
その中でも突出して素晴らしかったのが、ウィリ・ハッグというドイツワイン。
当時買い葡萄で造られたカジュアルなワインが多い中、“Gutabufulling”(エステート)、つまり自分の畑の葡萄でワインを造るワンランク上のドイツワインが、Gut(自社栽培ワイン)でした。
さらに、ドイツワインは村名+畑名を法的に表記することが義務付けられているのですが、その畑名にも格があります。
ハッグの造っている、
「ブラウネベルガー ユッファー(ブラウネルベルグ村の乙女)」
「ブラウネベルガー ユッファー ゾンネンウーア(乙女の日時計)」
等は、ドイツワインでもトップクラスの畑。
同じ畑のワインを造っているハッグ家のおじさんのワインは、ウィリハッグの1.5倍~2倍くらいの価格でした。
モーゼル地方は厳しい斜面にぶどう畑があります。
朝晩は寒く、昼はたっぷりの日照量で育ったリースリングは、きゅっと酸があるのに、口の中で上品が甘さが広がります。
ドイツワインは糖度によってランクが決められるのですが、一般的なQBAのランクでも、「これ、アウスレーゼ?」と思えるような、完熟した柑橘系の甘さが広がります。
食事にあわせても、フルーツ系のデザートに合わせても、ワインだけで飲んでも、誰もが「美味しい」と、虜になってしまうワインです。
50年前、まだワインの知識が十分でなかった山崎酒店でも、店頭で試飲していただくと、ほとんどの方が感動して買って下さる。
そしてウィリ・ハッグがきっかけで、ワインの世界を楽しむようになった方が増えてきました。
直輸入を始めてからも、ウィリ・ハッグは人気のワインでした。
が、酒屋Mさんのご店主がご高齢のため、ご商売をたたむことになり、ウィリ・ハッグを仕入れることが出来なくなる・・・そんな危機がやってきました。
そんな中、多くのこだわりワインの輸入元でもある酒屋Mさんの後を引き受けたいと、大手小売業から高額でオファーがありました。
しかし、酒屋Mさんのご店主は
「私のワインは大手ディスカウンターでは売ってほしくない。丁寧に大切に売っていれる店、ヴィノスやまざきに引き継いでほしい。」
ということで、ハッグ他、ドイツワインの輸入代理権を全てヴィノスやまざきに譲ってくださったのです。
ヴィノスやまざきのドイツワインは本格的なのに、安くて美味しい。
そして、多くの方にこのような評価して頂けるのも、
ワインを日本に広めた岩野貞夫先生、
酒屋Mさんのご店主、
そして50年前に、まだワインを飲む人がほとんどいなかったのに、一生懸命売っていた先代の山崎巽、美奈子….
そんな人達の情熱が、小さな小さなドイツの家族経営のウィリ・ハッグを今につないでくれたのです。
50年の時を経て、色々なワインが登場し、時には消えていっても、今もなお、その品質と味わいで多くのお客様に、美味しさと、そして飲んだ時の感動を与えてくれるワイン、
それが、ウィリハッグのブラウネベルガー・ユッファーです。
やっと、待望の入荷です。お楽しみいただけたら幸いです。
女子大生の時に、元住吉の銘酒屋Mの裏のアパートに下宿していた
ヴィノスやまざき
ファウンダー 種本祐子